他人からすればおかしい、と思われるかもしれないが、僕は道を行くカップルや恋人たちが仲睦まじそうに歩いているのを見るのがとても好きだ。
たとえば雨の日に、一つの傘の中に身を寄せ合って歩いていたりするのを見ると、「素敵な関係だな」と思う。たとえば晴れの日に、ニコニコと笑い合っていたり手をつないでどこかへと向かうのを見ていると、こちらまで心が和む。
なぜ好きなのかと問われると、そうした光景にやさしさや温かさが感じられるからではないかなと思う。怒りも憎しみも不安といった一切のマイナスな感情が、仲良く歩く、手をつないでいるという行為でかき消されているような気がして、僕はそこに安心やホッとするような感情が芽生えるのである。他人の幸せが僕にとってやさしさや温かさになり、穏やかな気分にさせてくれる。
それゆえに、僕は他人ののろけ話や幸せエピソードも好きなのだ。聞いているこちらも次第ににこやかになっていき、素敵だなぁと思う。うまく例えることはできないが、僕から誰かへ渡して発生した幸せも好きなのだが、誰かから誰かへ渡される幸せの話を聞く立場にいる方が、もっと好きなのだ。
誰かの幸せな話が僕を動かすエネルギーなのかもしれない。