りーにえんしーの闇鍋ブログ

書いている本人もよくわかっていないブログです。

乱丁

人生で一度だけ、本の乱丁に出会ったことがある。確か、中学生時代だったと思う。中古書店で購入した中古本でなく、新品のみを取り揃えている本屋で購入した、新品のマンガでだ。

読み進めて本の後ろあたりに差し掛かった時に、原稿用紙の一部が切れて、コマが剥がれかかっているようなページを見つけて――正確には乱丁とは違うかもしれないが――非常に驚いた。後にも先にもこうした経験はなかったので、不良品をつかまされた怒りよりも謎の感動が沸き起こっていた。ゲームの中でバグを発見したような、クイズ番組で出演者がわからなかった問題を当てたような、爽快感にも似た感動。そうした感動に浸っていたせいか、単純に面倒くさいかは分からないが、購入した書店に持っていくこともせずにいた。

そのマンガを読み返すたびに、そのページをまず開いていた。当然だが、いつ開いても変わらない乱丁の様相はそこにあった。そして、それを確認するたびに何故か安堵感を感じていた。乱丁部で中途半端になっている部分を、脳内で補完するのも何だか面白かった。

そのマンガは、今も実家のどこかに眠っているはずだ。もう探す気にはならないが。ただ、あの乱丁を見た時の感動は、今後はそうそう起こらないだろうなと思う。